• 震災と復興
  • 2011年の東日本大震災とそれにかかわる復興のカテゴリーです。

【震災から10年】まちなかインタビュー

東日本大震災から10年。
今石巻にいる人たちには、それぞれ過ごしてきた10年があり、それぞれ抱いてきた思いがあります。
今回は震災10年という節目に「それぞれ歩んできた10年」と「これから」について、まちなかの人にインタビューさせていただきました。

『割烹 八幡家』 阿部紀代子さん

食、マンガ、猫と様々な切り口からまちづくりをしてきた阿部さん。

ー Q 今振り返ってみて、どのような10年でしたか?
 自分の周りにいる人たちみんなが幸せになるためにどうしたらいいんだろう?ということをずっと考えてきました。再開発や猫をモチーフにしたイベントなど本当にいろんなことをやってきましたが(笑)、根っこはみんな一緒だったと思います。目の前にある問題を一つ一つ解決しようとしてきた10年でした。

ー Q 阿部さんは震災前からマンガを活かしたまちづくりをされてこられましたね?
 震災後のまちづくりは、それまで震災前には考えてこなかったことも考えざるを得なくなりました。例えば、堤防の高さとか道路の幅とか、建物をどうするかとか、そんなことは考えたこともありませんでした。とても大変でしたが、でも苦労したとは思ってないんです。とにかく無我夢中でしたから。

ー Q 現在の街はどんな街になりましたか?
 当初やろうと示された計画や事業はほとんど出来ました。でも、人が戻っているかというとまだまだと感じます。本当に歩いて楽しいなぁと思ってもらえる街にしていきたいですね。いろいろな建物ができましたので、それらを活かしていくまちづくりを、今度は若い人たちが中心となって進めていければと思っています。

ー Q これからどんな街になるといいと思いますか?
 石巻には、非常に多くのボランティアの方々が訪れ、手を差し伸べてくださいました。震災から10年が経つ今、もう一度そういった方々とつながりを持てればいいなと感じています。ここまで再開できましたとか、街はこんなに変わりましたとかお伝えしたいことはたくさんあります。気になってらっしゃる方々も多いのではないかと思います。今すぐにこちらに来てくださいとはなかなか言い難いですが…、落ち着いたらばぜひ足を運んでいただければうれしいです。

『割烹 八幡家』の情報はこちら⇒【食べる歩きガイド】マンガロードのおすすめ地産地消店 Vol.1

『萬楽堂』 高橋舞さん


社長の美江さんとツーショット。いつも笑いが絶えないお店です。

ー Q 震災後から現在まで、お店の再建までは?
 震災の被害でお店を解体せざる得なくなりました。同業の方の工場をお借りしたのち、仮設商店街(立町ふれあい復興商店街)に入居して営業していました。本当に多くの方に助けていただき、2014年2月に元の場所でお店を再開することができました。とにかく、あっという間の10年でしたね。10年前は、若かった…(笑)

ー Q 現在の街をどのようにご覧になってますか?
 街には新しい住宅ができたり、子どもセンターらいつができたりして子どもたちの姿を多く見るようになりました。一方で、以前のような活気にはまだ至っていないと思います。コロナもあってネット販売など自宅にいながらの買い物が注目されていますが、やっぱり私は歩いてお店に来ていただいて、いろんな話をしながら買い物を楽しんでもらうのがいいなと思っています。

ー Q 高橋さんにとって商店街ってどんな場所ですか?
 10年経っても今なお多くの方が気にかけてくれたり、来てくださったりする。遠くからわざわざ注文の電話をくださる方もいる。やっぱり商店街っていいなぁって思います。子どもから年配の方までいろんな方と話したり遊んだりできるのは商店街ならではだと思います。いい品を取り扱っているお店や美味しいお店もたくさんあるんです。ただ、そのことをなかなか地元の方にも外から来る方にもうまく伝えられていないかなと。もっと発信していきたいですね。例えば、石巻はマンガの街だから、いろんなところで萬画館で展示されているマンガを読めたりするといいですよね。もっと言うと、駅の近くに図書館があるといい…!高校生とかももっと楽しめるはず。

ー Q 今後どんなことをやっていきたいですか?
 最近はアマビエのパンや(節分にちなんで)鬼のパンなどオリジナルパンを作り始めました。まだそんなにたくさん売れるわけじゃないけど(笑)、でも作っていて面白いし、何よりお客さんが楽しんでくれるのが嬉しいです。お客さんに喜んでいただける商売を、新しいことを考えながらやっていきたいですね。

『萬楽堂』の情報はこちら⇒【食べ歩きガイド】マンガロードのおすすめ地産地消店 Vol.4

『3.11 みらいサポート』 藤間千尋さん


震災当初からボランティアとして活動し、現在は伝承・防災活動をしている3.11みらいサポートの藤間さん。

ー Q 10年を振り返ってみていかがですか?
 あっという間でした。震災の直後に災害ボランティアで石巻に来た時は一年で地元に戻ろうと思っていたんです。でも、一年経っても何もできてないと思って、もうちょっと、あんなこともできるんじゃないかと思っていたら10年近く経っていました。

ー Q 今も石巻にいたいと思う理由って何ですか?
 昔から命の大事さについて考えることが多くありました。震災前にNPOに所属していたことがあったのですが、理不尽に命が奪われる状況を目の当たりにし、自分たちの行動でそれが変えられるのであれば、少しでもその役に立ちたい、というのが理由かもしれません。私たち一人一人の意識が変われば災害が起きても命を守ることができる。今取り組んでいる、語り部さんのプログラムにその可能性ややりがいを感じています。

ー Q これからの先、どんなことに取り組んでいきたいと思いますか?
 石巻を訪れる方が、1分1秒でも長く石巻に滞在していただける取り組みをしていきたいですね。石巻にいるからこそ伝わることがあると思うんです。
 伝承ってどういうことなんだろう、その意味を地域の人たちと一緒に考えていければと思っています。観光施設の方々ともツアーなど組んでいきたいです。震災に対する思いは人それぞれだと思います。全く一緒ということはありません。いろいろな思いがあることを、石巻の豊かな資源とともに発信していきたいです。川もあって、おいしい飲食店もあって。素晴らしい、誇れる地域があるからこそ、防災や震災伝承って広がっていくと思うんです。知る、学ぶ、遊べることを通じて多様な価値観や楽しみを発信していくことに携わっていきたいです。

『3.11 みらいサポート』の情報はこちら⇒3.11 みらいサポート

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